ギースル・エゼクター

1963.5. 辰野駅 Photo by: T. Satomi

ギースル・エゼクター(Giesel Ejector)は誘導通風装置と和訳されたが、和訳の

方はほとんど使われることもなく、死語になる以前に生きなかった鉄道用語

である。

くだんのギースル・エゼクターはオーストリアのウィーン工科大学ギースル

・ギースリンゲン教授によって考案されたためその名が付けられたもので、

燃焼効率を向上させることで燃料の節約と速度の向上をはかる装置である。

具体的には小煙管部分の熱ガスの流通を抑え、大煙管内に熱ガスを多く

流通させることにより燃焼効率を向上させ、煙管内の吸引効率が大きく

なるように設計されている。外見上は煙突形状が長円形断面になっている

ので、すぐにそれと見分けることができる。

国鉄では1963年(昭和38年)にギースル・エゼクターの完成品を輸入して

長野工場にて諏訪機関区所属のD51 349号機に試験的に装着した。

D51 349号機の煙突の非公式側には製造銘板が貼り付けられている

らしいが、上の写真からはよくわからない。

同装置はほぼ同時期に郡山工場にて盛岡機関区のD51 357号機にも

装着されている。

引き続き同装置は、理研金属工業が日本での製造販売権を取得した上で

国産化し、土崎工場と苗穂工場にて計33輌のD51に装備された。

使用結果は9ー15%の石炭を節約することができ、シンダの歩留まりもよく、

火の粉の飛散防止にも効果があったといわれているが、国鉄当局としては

特にこの装置を積極的に普及させようとはしなかったようである。

晩年は下のD51 413号機のように、北海道の追分機関区に集中配置

され同区の名物となっていた。長円形煙突のため煙の出方に特徴があり、

またドラフト音も独特であったと言われるが、ドラフト音の違いについては

私は鈍いのか、下の写真を撮影した際には残念ながら気がつかなかった。

ちなみにギースル・エゼクターが装備されたD51は以下の通りである。

117・120・167・226・232・241・276・285・293・308・315・328・

343・345・349・357・371・391・413・457・492・509・539・570・

605・711・725・733・742・842・952・953・1037・1042・1119

号機

1974.3. 追分駅 Photo by: J. Satomi