張殻構造車体(モノコックボディ)

1960.5. 田園調布駅 Photo by: T. Satomi

前田昌良さんよりご教示頂きました。

  

 「死語辞典」への提案ですが、「張殻構造車体」(モノコックボディ)

 はどうでしょうか。

 昭和29年、東急「東横線」に5000系が登場、

 昭和30年、相模鉄道にも5000系が登場、

 昭和30年、東急「玉川線」にデハ200形登場、

 何れも、車体構造に航空機の技術を取り入れた、「張殻構造車体」

 で、東急電鉄は傘下の「東急車輛」製で、相模鉄道は「日立製作所」

 製です。

 東急デハ200及び、相鉄5000系は、床下機器を車体構造と一体

 に、取りつけた、「ボディマウント方式」でした、同方式は、新幹線車輛

 「200系」以降の、車体構造にも採用され、車体の軽量化に貢献して

 います。

 「張殻構造車体」は、余りにも「先進的」過ぎたのか、設計に自由度が

 無く、改造に適さない、保守面で難点が有る等で、広く普及するまでに

 は行かず、その後「ステンレス車体」「アルミ車体」等の軽量車体の

 登場で、夫々一代限りで終わりました。

  

モノコックボディは飛行機の発達と共に進歩したボディ構造で、卵の殻が

よく例えとして用いられます。別名、応力外皮構造とも呼ばれ、長所は卵の

殻のように非常に薄い板厚でもボディ全体に強度を持たせることによって、

軽量で強靱なボディを作ることが出来ます。飛行機だけでなく、以前はバス

ボディもこの構造によっていました。住宅建築の分野でもアメリカで発達した

柱を用いない、いわゆる2X4(ツーバイフォー)工法はその応用であると

いえましょう。

欠点としてはボディそのものに強度を持たせているので、開口部すなわち

窓や扉を大きくできないという点で、飛行機なら窓が小さくてもまだ我慢でき

ますが、バスの世界、とりわけ豪華観光バスの場合、窓が大きくできないの

は致命的で、やがて柱を用いてこれに強度を持たせた「スケルトン構造」の

バスボディが主流となっていきます。日本の伝統建築である木造軸組工法

はスケルトン構造の一種で、だからこそ部屋と部屋を襖や障子だけで仕切る

ことも可能なわけですね。

逆に鉄道車輌の世界では、伝統的にスケルトン構造が大多数を占めていま

したが、戦後、多くの航空機設計技術者が自動車業界や鉄道車輌業界に

移ってきたこともあって東急5000系やデハ200形のようなモノコックの

名車が次々と誕生していきました。

ちなみに最近の豪華観光バスはモノコック構造とスケルトン構造の両方の

長所を取り入れた設計になっているようです。(里見)