豚積車

1963.6. 豊橋駅 Photo by: T. Satomi

上の写真の貨車は、側面に「鹿」と書かれているが、乗っていたのは豚だった。

下の写真の貨車は側面に「熊」と書かれているがやはり豚が乗っていた。

実はいずれも「豚積車」と呼ぶ生きた豚を産地から消費地へ輸送するための

専用貨車である。豚積車の形式記号は「ウ」でこれはヴタから来ている。

豚積車の内部は上下2段構造で、換気をよくするために車側に羽目板を

張らず、豚が逃げ出さないように鉄棒が通してある。また、水はけをよくし

排泄物で鉄板が腐食するのを防ぐため床面はアスファルト張りになっていた。

一見車掌室のように見える車端の部屋には養豚業者が付添人として添乗し、

道中暑さで豚がバテないよう時々水をかけてやっていた。

上の写真では、豊橋駅での停車中に、付添人が大切な「乗客」に異常が

ないかどうか心配そうに覗き込んでいる姿が印象的である。

当の豚さん達にとってはダブルデッカーで行く最期の旅路であった。

尚、「鹿」というのは鹿児島鉄道管理局の、「熊」というのは熊本鉄道管理局

のそれぞれ略号である。念のため。