クルクルパー

1963.6. 豊橋駅 Photo by: T. Satomi

蒸気機関車の煙突からは煙が出るが、火室の燃焼具合によっては火の粉

という余計なものまで出てしまうことがあり、これが周囲にまき散らされると

非常に危険である。

危険を防止するのは当然のことだが、それに加えて蒸気機関車の散出する

火の粉が原因で発生する沿線の山林・民家の火災に対して、国鉄は毎年

相当額の賠償金を支払っていたから、経営的な観点からも何とかしなけれ

ばならない頭の痛い問題だった。

火の粉防止策については古くから様々な研究が行われてきたが、決定版

となったのが1953年(昭和28年)に採用された回転式火粉防止装置である。

これは煙突の吹出し口に回転翼を持った金網を装着し、煙の排気圧力に

よってこれらが自動回転し、出てきた火の粉は回転翼と金網にぶつかって

着火力を失うというもので、この装置は火粉防止に絶大な効果が上がる

ことがわかったため直ちに全国の機関車に広まった。クルクル回転する

様子からこの装置は俗に「クルクルパー」と呼ばれるようになったが、

煙突の上端にはじょうごのような丸い防煙板がセットで取り付けられたため、

蒸気機関車の美観を著しく損ねるとして、ファンからは徹底的に嫌われた。

首都圏の蒸気機関車にはこのクルクルパーを装着したカマが多く、せっかく

東京近辺でまだ蒸気機関車が見られた時代でも、クルクルパー付の機関車

は絶対に撮らないという頑固な蒸機マニアも方もいらっしゃったのである。