上信電鉄ED31形(伊那電鉄デキ1形)

1962.10. 高崎駅 Photo by: T. Satomi

飯田線の母体のひとつである伊那電鉄が1923年(大正12年)に芝浦製作所

から購入したデキ1形は、国産電気機関車としてはED40形に次いで2番目

に古く、そういう歴史的意義だけでもこの機関車は充分に名機たる資格を持つ。

伊那電鉄は1943年(昭和18年)に国有化されたため、デキ1形も国鉄に編入

されてED31形となり、更に近江鉄道に払い下げられて(1・2号機は西武

鉄道経由)活躍したことは非常に有名。

しかしED31形に6号機があったことはあまり知られていない。私は仲間

はずれになった6号機の方をあえて推薦したい。

ED31 6号機は1957年(昭和32年)に国鉄で廃車になり上信電鉄に払い下げ

られた。

上信電鉄では特徴ある凸形の車体を箱形に作り替えると共に、電動機を

ドイツのシーメンス(Siemens)社製DJ-11B型(定格出力50kw)に、台車を

ブリル(Brill)社製27MCBZ型にはきかえた。これは同社で開業以来活躍

していたシーメンス社製凸形電気機関車のデキ1形に性能をあわせるため

の措置だった。

そのためED31 6号機は台枠を残してほとんど生まれ変わったわけだが、

結局上信電鉄でも1輌のみの異端車としてあまり厚遇は受けなかったようで

ある。

もっとも改造によって与えられた箱形の車体は、突貫工事ながら妻板屋根

部分にはヒサシがつき、申し訳程度だがデッキも備えている。全体的に

バランスのとれた好ましいスタイルに仕上がっているのがとても嬉しい。

下の写真は伊那電鉄デキ1形時代の原形をとどめた近江鉄道ED31 1号機

1963.2. 彦根車庫 Photo by: T. Satomi