南部縦貫鉄道キハ10形

1977.8. 野辺地駅 Photo by: J. Satomi
日本の本格的なレールバスの歴史は1954年(昭和29年)に登場した国鉄の
キハ10000・10200形(後にキハ01・02・03に改称)によって幕が開け
られた。この小さくて経済性に優れた車輌はやがて赤字に喘ぐ地方路線
での尖兵となることを誰もが疑っていなかった。
もともとバスボディ製造を得意とする富士重工では、1962年(昭和37年)に
南部縦貫鉄道向けにキハ101と102というレールバスを製作、この2輌は
東急車輌製の国鉄キハ10000形よりももっと徹底してバスボディとの共通
化をはかっている。エンジンは定格出力105PSの日野自動車製DS90型
を搭載、自重は9.5tでキハ10000形より更に軽い。
しかし理屈や期待通りに物事が進まないのが世の中の常で、障害となる
ものが特に見当たらないレールバスが、その後なぜか国鉄でも地方私鉄
でも普及しなかった。そのため南部縦貫鉄道のキハ101・102だけが取り
残される格好になり、日本のレールバス界はずっとこの2輌だけが頑張って
きた。
やがて1980年代に入って国鉄地方路線の第3セクター化を契機として、
第2次レールバス・ブームが到来したのはご周知の通りだが、富士重工が
名作LE-CARを設計するのにあたってキハ10形の設計データと使用実績
が非常に参考になったといわれている。
レールバスの命脈を保ち続けてきたキハ10形2輌は南部縦貫鉄道と共に
現在休止中だが、再び鉄路を走る可能性はまだ残されている。

