


晩年の蒸気機関車は細部まで観察していくと1輌1輌全部異なっていたといっても過言ではなく、また多くの変形機が見られた。深海に棲むチョウチンアンコウが光を発するように、高木の葉を食べるためにキリンの首が長いように、特殊用途に用いられる機関車はやはりその用途に合わせて形態が進化する。青森機関区に所属していた29689号機は、青函連絡船に貨車を積み込む作業に従事する上で、後方の視界を良くするために炭水車の炭庫部分が大きく切り取られてしまった変形機。炭水車の前端部には風防が立っていて、横長の窓があけられているのが上の写真から確認できる。機関車の前位に多数連結された控車が、鉄道連絡船の駅、青森の風物詩だった。下の写真は羽越本線の酒田機関区所属の29639号機で、やはり入換作業専用機のために同様の改造を受けている。入換専用に特化した9600形蒸気機関車にはこの他、吹田所属機のように動力逆転機を装備したもの、岡山所属機のように炭水車に大きく安全マークを描き入れたもの、北海道所属機のように正面と炭水車を警戒色塗装(いわゆるトラ塗)にしたり連結器自動開放装置を装備したり、色々な形態があって各地の名物になっていた。 |