

これはかなり怪しげな電車。奇車・怪車がどうしても事業用車に集中するのはやむを得ないとしても、このスタイルは鬼面人を驚かす。阪神電鉄の112形は111〜115の5輌が在籍した無蓋貨車で、かつてはゲテモノ・ファンの間でそれなりに有名だった車輌。一見、凸型電車に見えるがレールなど長尺物を運搬するため前後の荷台は貫通しており、すなわち中央の運転台はヤグラの上にそびえているわけである。まるで軍艦のブリッジ(艦橋)のような。写真の113は1922年(大正11年)日本車輌製、国鉄形の事業用車にありがちな改造車ではない、生まれた時からこの姿である。大きく目立っている台車はブリル(Brill)社製27MCB1型、米国GE社製の40PS級電動機4基を装備していた。一度でもこんな車輌に乗って鉄路を旅することが出来れば、鉄道ファンとしてもう思い残すことはない。 |