
上毛電気鉄道は開業以来、一度も社名を変えていない奇特な鉄道会社である。終始一貫、伝統の社名を貫いていることに対して非常に好感が持てるが、反面、悪くいえば社名を変えるような経営環境の変化に乏しかったいうことにもなる。実際に地方私鉄といえど東京から至近距離にある関東の鉄道会社の割には、上毛電鉄が世間から注目されることは少なかった。しかし電車ファンとしての趣味の立場から見るならば、上毛電鉄は類い希な魅力に溢れた鉄道会社であった。一見、何の変哲もない茶色い電車に隠された数多くの歴史の扉を開けることによって、1960年代初頭における上毛電鉄の魅力を探訪してみたい。 |