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司会:鉄道マニアが集まったんですが、「趣味は?」と聞かれて「鉄道」というと皆けげんな顔をするんですね。「レールの上を走っている鉄道か」、「そうや」こういうマニアの集まりに”鉄道友の会”というのがあって、全国で会員は7800人くらい、朝日放送にも8人ほどマニアがおりますが8人とも対象が違うんです。鉄道マニアといってもいろいろあって車輌を専門に写真を撮る人、時刻表をバイブルのように大事に持っていて、この列車とこの列車はこう接続するから、急行を利用するより普通と快速で行くと何時間早く行けるという時刻表マニア、111列車にはどういう客車を組み込んでいるというようなことに興味を持つ編成マニア、それから鉄道のいろんな施設、入場券やはじめての列車の1番の切符をねらうナンバーマニア、いろいろあるんです。安保さんは小さな、名前も知られていない専用軌道というような方面が対象ですね。安保:大体標準型以外のゲテモノとか、非常に古いもの、とくに蒸気機関車が好きです。門根:私は、皆さんのように専門化してないんですが、方々へ行って、好きだから写しているんですが、蒸気機関車が多いですね。堀井:僕は国鉄でも、私鉄でもどっちでもいいんです。走っている写真、景色なんかいれたものを主にとります。それから田舎の線の汽車に乗ったりするのも好きですし、切符を残しておいたり、入場券も集めています。司会:テレビ中継の中島忠夫さんは、非常に蒸気機関車に情熱を持って、ともかく日本のレールの上を走っている蒸気機関車は1輌残さず写しておくと意気込んでいますし、テレビ営業の山本定祐さんは報道に前おられただけに、開通式なんかがあれば、とんでいって必ず写してます。僕は貨車とトロッコ以外の日本の車輌全部を写したい。欲ばっているんですが。各人各様ですね。門根:中島さんと僕のなれそめは昭和32年ごろでしたか、テレシネの部屋へ行ったら鉄道ピクトリアルがおいてある。こんなところでこんな雑誌があるのはおかしいと思って、だれが読んどるのやというと、中島さんが、僕のやつですというんです。ここにも鉄道マニアがいるというわけで、お茶でも飲もうやということになった・・・・・司会:朝日放送で鉄道マニアが集まって、マニアであると打ち出したのは5年くらい前ですね。マニアになったのはたいてい幼稚園のころからだ。 |
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門根:あなた方が写された車輌でも、随分なくなってしまったのがあるんじゃないですか。そういう意味では貴重な記録ですね。司会:たしかに、この車輌がなくなると写せなくなると思うと、写しておかないといけないという義務感があるような気がして、そうなると趣味を越えてきますね。そうして日本全国、北海道から鹿児島まで、車輌を追っかけて写し回っているんですが、苦労した話とか、ひやっとした話、何かないですか。安保:一昨年、東北を回ったとき、上野から新津に行って、新津で乗りかえるんですが、着いたのが朝の5時ごろで、乗りかえ時間があるので、腹ごしらえをと思って、そばを食べてたんです。気がつくとベルが鳴っている。僕の乗る汽車だということを忘れてたんですね。ぼんやり聞いてたら発車しかけている。はっとして食べかけでブリッジを渡っているひまもないので、線路の上に飛び下りて、やっとこさでぶらさがって乗ったんですが、あのときはひやっとしました。それに乗り遅れたら、あとの計画はめちゃくちゃになってしまうんです。司会:大都市の交通機関なら、1台乗りそこなっても別にひやっとしないが、辺ぴなところで1台乗り遅れると大変なことになりますからね。門根:僕、ひとつあるんです。瀬野へ行ったとき、上り列車を写しとったんです。あそこは上りは勾配がきつくてゆっくりくるが、下りは逆で、ものすごく速いし、惰行してくるので、音がしないんです。予想しとらんのに下りが来まして、それでもやっぱりシャッターは押しましたよ。Cの62と59がすれ違うところが写りましたが、びっくりしましたよ。司会:ひやっとしたことが転じてすばらしい写真がとれた。堀井:僕はそういう経験ないんです。よく線路に入って写している人がありますが、ああいうの、どうもこわいですね。司会:僕は近鉄の天見駅で、あそこは上下線のほかに中線が通ってるんです。駅の状況からみて、これは当然下り急行の通過線路だろうと思って、上り列車が入ってきたのを中線の上でカメラを構えていたんです。そうしたら助役が駅長室から飛び出してきて、「あぶない!」とどなった。僕は電車よりも、そのものすごい怒号と顔がこわかって、飛び退いたんですが、その瞬間に上り急行が中線を通過していきました。あのとき、あの助役が駅長室からのぞいていなかったら、ひかれて・・・門根:名前が変わっていた。司会:普通でも交通事故が多いのに、危険なところへ好んで行くんですから、あぶない話ですよ。門根:臨時ダイヤがあぶないですね。以前、ダイヤの乱れているとき、「つばめ」を写していましたら、外線通ると思っていたら中線通るんです。ああいうのがあぶないですね。司会:素人なら、線路があれば電車が通ると思って立たないが、マニアは「つばめ」は外線を走るとか、この中線は下り列車は通過せんだろうと状況判断をするから逆に危険が多い。堀井:ローカルの単線のところは、その点よろしいね。赤穂線へ行ったとき、国道だとトラックがしょっちゅう通るでしょう。線路歩いている方が安心感があるんです。 |
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司会:いまの話と逆に、愉快な話はありませんか。ひやっとしても、無事で、何もなければ後で愉快な話になるわけですが。門根:マニア一同と出かけるときは楽しいですね。安保:北海道の松前線の知内村の森越というところに2フィート6インチのゲージの汽車があるというので、行ってみたんです。駅へ行っても要領を得ないし、何かあっちで走っているというようなことで、とにかくどんどんいくと煙が見えるんです。ストーブの煙かな、と思って見てたら、煙の出具合に特徴があるんですね。これは間違いないと思ってうれしかったですね。しばらくすると、ゴトゴトちっちゃいのが走ってきて・・・・司会:車庫なんかへ前もって何月何日に出かける、何号車を写したいからよろしくお願いしますと連絡しておいて、行ってみたら、こちらの頼んだ車を出庫止めにしておいてくれる、うれしいですね。門根:ああいうのは、全く感激しますね。どういうてお礼いったらいいかわからない。最近はどこへ行ってもマニアを信用して、非常に便宜をはかって下さるのは、ありがたいですね。 |
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司会:趣味から脱線しますが、三河島事故、鶴見事故などについてマニアとしてどう感じられますか?門根:実際、自分でも身を切られるような感じがしますね。それにしても、ちょっと最近多すぎる。新聞では、現場の士気のたるみとかいっているが、そればかりじゃなく、何か別のものがあるんじゃないか。司会:連続的ですからね。門根:中央公論に指導機関士の人の話が出ていましたが、現在の過密ダイヤで、そのうえスピードはどんどん上がりますし、何でも10秒に1つの割合で信号を確認しているそうです。そんなこと、人間わざでできることじゃないですよ。司会:現場の運転士の話を聞くと、国鉄には運転細則があって、これによって運転しているんですが、現在のダイヤではこれが守られない。中央線を例にとると、東京へ到着した列車がすぐ三鷹なり浅川へ引き返す。そのときに、来た電車の運転士が折り返し反対の運転台へ走る。10輌編成だと200メートルです。そして細則によると、出発信号機を確認し、喚呼してノッチを入れる。そんなことしてたら遅れてしまうんです。やむを得ず、飛び込むなりノッチを入れて、乗務台ドアから後ろをながめて、ドアがしまっているか、乗客がはさまれていないかを確認してスピードをあげていく。これなんか完全に細則違反ですが、違反しなければダイヤが保てないところに矛盾があるんですね。門根:放送の事故ならお金でことがすむが、向こうは人命ですからね。根本的にもっと原因を考えなきゃ。厳格な訓練をするとかいっているが、それも大いに必要だが、それだけでは解決できん問題が潜んでいますよ。堀井:スピードアップしますと同じ勤務時間でも距離が長くなるので、車掌の人でも疲れるといってますね。門根:それと、神経の使い方が違うんじゃないですか。昔みたいにのんびりと運転していられないでしょうからね。安保:過密ダイヤは、自分でダイヤ引いてみたらよくわかりますよ。東海道線なんか、おそろしくなりますよ。スジ引くところなくなるんです。門根:よく、虫めがねで見ないとわからんといわれますね。堀井:多いのは東京、大阪、北九州ですね。安保:東京、大阪の夜間急行は10分おきに出てますね。堀井:その間に普通列車が入りますし・・・・司会:貨物列車も間に入るし、回送車も通るということになると時刻表の2倍も3倍もの列車が実際線路上を走っているということになりますね。堀井:それも、同じ速度の列車ならいいが、みな速度が違うから困るんですね。司会:だからいったん事故でも起って、現状に復帰するには1週間ぐらいかかるんだそうですよ。堀井:事故の数からいえば、特急なんかより通勤列車の方がはるかに多いですね。お金が高いとそれだけ安全ということですね。司会:鉄道マニアは、鉄道の内部のいろいろなことを知っているだけに、事故が起ったら、またやりよったかというより、やってくれたか、あゝ・・・・と何ともいえん気持ちですね。そこらが一般の利用客と違うところですね。門根:この前、岡山に行ったとき、僕らの乗ってる前の貨物列車が脱線したんですが、おもしろいことはおもしろい。早速、写真とりに行って帰って話をしたら、しかられちまって、なんでニュースソース持ってこないか。どうも現場離れているとピンとこなくなっていかんです。職業意識聞かしてやらにゃいかんのに。司会:事故だけはなくしてほしいですね。日本の鉄道技術は世界一だといわれたのも、世界一になったんじゃなくて、ならざるを得なかったからですよ。門根:そこに無理があるんです。追われ追われてあいうダイヤになったので、計画的にああいうダイヤ作ったんじゃない。そこらに盲点が潜んでいると思いますね。(続く) |
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