

商売柄、お店でお客様から最も好きな機関車は?電車は?と尋ねられる機会は多いのだが、最も好きな貨車は?と尋ねられることは皆無であることに内心、一抹の寂しさを感じるわけで、だから尋ねられる前に答えてしまおう、などと偉そうにいうほどのことでもないのだが、とりあえず一番気に入っている貨車はホキ4900形である。頭が固いといわれるかもしないが、物質を輸送することだけが目的である貨車という存在はすべからく無骨であるべしという固定観念があって、私が知る限り最も無骨な形態を誇るのがこの貨車なのである。そもそも逆台形という基本スタイルは見る人に不安定感を与えるし、側面にまるで檻のようにずらりと並んだ9本の縦リブと、5基のマンホールを囲む妖しい突起物は全てのファンからの愛着の情を拒絶するかのようだ。ホキ4900形は1961年(昭和36年)から30輌が製造された30t積のソーダ灰(炭酸ナトリウム【Na2CO3】)専用車で、写真の撮影当時は全車が大阪港駅常備となっていた。 |