

外見に対して内容が伴わぬことを「見かけ倒し」という。大垣電車区に所属するクエ9421の屋根上には立派なパンタグラフが装着されているが、「クエ」という形式の通り、この救援車は付随車であって自走用の電動機を持たないからパンタグラフは見かけ倒しである。もっとも架線から集電した電力は電動発電機(MG)を通して作業用の1tクレーンの動力源となるのだから、そういう意味では見かけ倒しではない。同車は宇部電気鉄道向けとして日鉄自動車が1940年(昭和15年)に製造したデハニ350が前身で、1943年(昭和18年)に会社ごと国有化され、1959年(昭和34年)に大井工場にて救援車に改造された。この際に車体はご覧のように大規模な外科手術を受けることになったが、そのかわりJR化間際の1985年(昭和60年)に廃車されるまで、社形国電としては最後の方まで生き残ることとなった。幅4.5mもある巨大な側面扉や、妻板に設けられた無粋な観音開きの扉は大型の資器材を積み込むためのものであって、もちろん見かけ倒しではない。 |