1977.8. 花岡駅 Photo by: J. Satomi

同和鉱業小坂鉄道は知られざる私鉄であった。

私自身も正直言ってこの鉄道を訪れたのは、東北地方の全私鉄を訪問する

という目的があったから立ち寄ったのであって、仮に小坂鉄道だけが遠く

離れた場所にあったとしたら、ここだけを目的に旅立ったとは思えない。

当時は小坂鉄道を紹介する資料もほとんどなかった。しかし時刻表の路線図

に線路のマークがあることは、同和鉱業という会社が旅客営業を行っている

立派な「私鉄」であることを意味した。

実際に小坂鉄道を訪問すると、私はこの鉄道会社の魅力に圧倒された。

他の地方私鉄には見られない非常に立派な気動車が70km/h以上の

スピードで田園地帯を走り抜けていく。花岡駅では冒頭からDB2という

まったく正体のわからない機関車に出くわした。構内にごろごろころがって

いる貨車群の大部分が珍しいものか、歴史的価値のあるものばかりだった。

その小坂鉄道は花岡線が廃線になり、小坂線も旅客営業を廃止、時刻表

から完全にその姿を消した。

知られざる私鉄、小坂鉄道は何10年かの歳月を経て、再び知られざる

世界へ戻っていくのであろう。